川崎研究室では,複雑な物流・社会システムの合理化および持続的な発展に寄与することを目的として,交通工学・交通科学・交通経済学・統計学などの手法を用いて,物流社会システム・サプライチェーンマネジメント・バリューチェーンの観点から,物流システムを中心とした社会のあるべき姿を「設計」しています.特に,サプライチェーンネットワーク・シミュレーションモデルの構築,倉庫立地分布予測モデルの構築,物流センシング,グローバル・バリューチェーン,技術革新と物流システムの関係など,物流・社会システムの構造を適切に記述するモデルの開発を目指しています.
サプライチェーンネットワーク・シミュレーションモデル
都市圏レベルでの貨物フロー,在庫状況などを再現するサプライチェーンネットワーク・シミュレーションモデルの構築を産業界・行政界と連携して行っています.モデルでは,貨物の異質性や在庫状況の考慮も目指しており,政策分析や流通系企業の事業効率化のために活用されています.他にも,SCMの最適化や経済合理性を追求した頑健なサプライチェーン・ネットワークも模索しています.
物流施設立地分布予測モデル
交通・物流インフラ投資や土地利用政策の実施に伴い変化するのは貨物フローだけではなく,貨物が発生集中する物流施設の立地も変化することが考えられます.そこで,物流施設の立地分布予測モデルを開発し,インフラ投資やソフトな物流円滑化により物流施設がどのように変化するか予測しています.他にも,生産拠点・倉庫自動化時代の物流施設立地分析も行っています.
物流センシング
高精度に貨物フローを再現するには,各ゾーンにおける正確な貨物量の把握が必要です(i.e., 正確なOD表の作成が必要です).本研究室ではプローブデータや衛星データなどのビッグデータを用いて物流センシングを行い,貨物OD表の作成を試みています.特に,世界中で入手可能な衛星データなどを用いた推定手法の構築を試みており,社会経済指標の入手が簡単ではない開発途上国への適用を目指しています.
技術革新と物流システム
物流分野における技術革新は目覚ましいものがあり,その効果は大きく,多岐にわたります.コンテナターミナル自動化,船舶自動化,隊列走行などの技術革新の波及効果を計測するモデルを開発しています.
グローバル・サプライチェーン・ネットワーク
グローバル・バリューチェーンの概念に基づき、中・低所得国の産業・貿易構造のあり方を分析しています.本研究室では,世界の企業間取引データを用いて付加価値貿易の実態を分析し,国の経済成長を促進させるような物流・貿易政策のあり方について検討しています.